登別市に残されているアイヌ民族の物語には、どのようなものがあるか
フンペサパ
昔、太平洋の海中にショキナという鯨に似た巨大な怪物が住んでいて、舟でも鯨でも丸呑みにしたので、人間どもはひどく難儀した。神々が相談して退治に行くが誰一人として敵うものがいない。
最後にカワウソが頼まれて退治に行き、首尾よくショキナを捕えたけれども、あいにくなことに刀を忘れてきたのでショキナを切ることができない。方々の部落の神々に呼びかけて刀を貸してくれるように頼んだけれども、どこの部落の神も相手にしてくれない。
ほとほと困っていると登別の神が見かねて、「カワウソよ、おまえは自分の刀をちゃんと腰にさして持ってきているではないか」と注意してくれた。カワウソは忘れっぽいので自分が刀を持っていることをすっかりど忘れしていたのだった。
そこで自分の刀を抜いて、ショキナを胴中から真っ二つに切り離し、頭の方を登別の神へのお礼にここの浜へ置いていったのが、今のフンペサパの由来だという。
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